2007年03月20日

東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン〜 最終章

『涙の最期』

町を歩く雅也(速水もこみち)は、ふと、足を止め、
公衆電話を見つめる。
前方には、東京タワーが聳え立つ。
それは、東京に出てきた日、母・栄子(倍賞美津子)に
電話をかけた、
雅也にとっては思い出の公衆電話だった。

「東京に出てきて、10年目の春が来ていた。」

桜の花びらが風に舞う。
雅也は桜の木を見上げ・・・そして又歩き出す。

雅也が母の病室に行くと、バカボン(柄本 佑)、
徳本(高岡蒼甫)、レオ(チェン・ボーリン)が、
栄子と一緒に、楽しそうに食事をしていた。

「お仕事、お疲れさん。」栄子が雅也に微笑む。
「うん。」続きを読む

2007年03月13日

東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン〜 第10章

『最期の選択』

「ボクが一番、恐れていたこと・・・。」

風邪を引き近くの病院を訪れた中川雅也(速水もこみち)は、
母、栄子(倍賞美津子)が胃がんであることを知らされる。

その帰り、ゴミ置き場に捨てられた、動かなくなった
古い時計を見つめる雅也。

家に帰ると、栄子はうさぎのゴジラを愛しそうに撫でていた。
「お帰り。」
「うん、ただいま。」
「ちゃーんと診てもらった?」
「うん。」
「あの先生よかろう?丁寧で。」
「・・・そうやね。」

外は雨。
仕事をする雅也は、そっとペンを置く。続きを読む

2007年03月06日

東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン〜 第9話

『将来の約束』

実家を訪れた佐々木まなみ(香椎由宇)は、現状を目の当たりにし、
「頑張ろうよ。
 私も出来ることはするから。」
と母を励ます。

中川雅也(速水もこみち)の母、栄子(倍賞美津子)が
病院を退院していく。

「手術から2ヶ月後、オカンは退院した。」

自宅のカレンダーには、どの日にもびっしり予定が
書き込まれている。
仕事に精を出す雅也。
鳴沢(平岡祐太)は、なぜか仲介役として一緒に仕事部屋に
篭っている。
「マネージャーじゃないんだから。」と文句を言うと
「ま、そこは腐れ縁ってやつやね。」と雅也。
二人とも楽しそうだ。続きを読む

2007年02月27日

東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン〜 第8話

『家族の絆』

1997年 東京
中川雅也(速水もこみち)は、鳴沢一(平岡祐太)が携ることに
なった新雑誌のイラストを依頼されるなど、仕事は順調。
相変わらず遅刻魔の雅也を、鳴沢は彼だけ集合時間を早めて
伝えると、会議の始まる時間丁度に雅也は到着。
彼の作品は社員たちにも好評だった。

「イキイキしとるね!
 前の雑誌より、向いてるんじゃない?」
会議後、雅也が鳴沢に言う。
「どうだろうね。
 まあ、楽しむ努力だけはしようと思って。
 ・・・お母さん元気?」
「相変わらず元気すぎて、困るったい!」続きを読む

2007年02月20日

東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン〜 第7話

『オカンの心、ボク知らず』

1996年秋。
中川家のベランダには、『自給自足』『オカン農園』と
書かれた札と、ニンジン、ダイコン、チンゲン菜、
沢山の野菜が育てられている。

冷蔵庫には特売のメモにスーパーのちらし。
中条きよしのポスターと、クーポン券。
ハワイアンセンターで撮った雅也(速水もこみち)と
栄子(倍賞美津子)の2ショット写真。
ヒゲメガネ。ハンディカラオケ。
栄子の薬の袋。『渋谷区甲状腺医療センター』
広告で折った小物入れの中には回数券、バス共通カード。
ビーズアクセサリー製作の内職引取書。
渋谷区老年向けサークル白樺会の予定表。

「親子の同居生活にも、暫くの月日が流れ、
 オカンは、東京で、着実に進化を遂げていった。」
続きを読む

2007年02月13日

東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン〜 第6話

『オカン上陸』

中川雅也(速水もこみち)は、母の栄子(倍賞美津子)と
東京で再び一緒に暮らすことを決意。

「ドラマチックやー!
 先輩カッコよか!男の鏡たい!
 それでおばちゃん、東京に来ると?」
バカボンこと耕平(柄本 佑)は感動するが、
「まー、そう言うとったけん、来るんやないと?」
とテンションが低い。
「意外な返事やったんよねー。」

その頃栄子は、香苗(浅田美代子)の店で、
香苗や常連客たちと別れを惜しんでいた。

雅也のアパート。
「オカンのことやけ、心配せんでよか、
 気持ちだけ貰うとくっち・・・って言いそうなもんやろ?
 実感がわかん・・・。
 これから俺がオカンば養っていかな、いけんのよねー。
 引越し代も集めんといけんし。
 ・・・ほんとに来ると!?」
「何で俺に聞くん!先輩、腹くくらんね!」
「わかっとうよ・・・。」続きを読む

2007年02月06日

東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン〜 第5章

『最後の旅行』 

がん手術のために入院した母、中川栄子(倍賞美津子)に付き添うため、
雅也(速水もこみち)は筑豊に帰京。

「オカン!!」
病室に飛び込むと、栄子は入院患者たちと花札を楽しんでいた。
一人勝ち状態の栄子は上機嫌!
「あの・・・」雅也が声をかける。
「あれ!マー君!
 なんで?来てしまったと?
 仕事はどげんしたと。」

「あら、良か男!」
「そうやろ!うちの息子たい!
 東京で、イラストレーターばしとると!
 すごかろー?」
栄子が入院患者に自慢をする。続きを読む

2007年01月30日

東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン〜 第4章

『病の宣告』

「ばあちゃが死んだ。
 何もしてあげることが出来ずに、
 ばあちゃんは死んでしまった。
 悲しさよりも、悔しさに泣けた。
 さよならも、ありがとうも、違う。
 何か感じたことのないような気持ちが、
 言葉にならなかった。」


=1994年3月=
中川雅也(速水もこみち)は、祖母の藤本ハル(赤木春恵)の死を契機に
生活態度を改める。
徳本(高岡蒼甫)の勤める自動車修理工場、
そして、レオ(チェン・ボーリン)の勤めるクラブ、
掛け持ちでアルバイトを始める。
「思ったより続いてるな。」
「意外と続いてるね。」
徳本とレオもそれぞれの職場で雅也にそう声をかける。続きを読む

2007年01月23日

東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン〜 第3章

『祖母の最後』

=1992年10月=
面接会場。
担当者に、履歴書に書いた好きな言葉、『All Need is Love』を
笑われる雅也(速水もこみち)。
「恥ずかしいセンス」と言われてしまい、ムっとする。

大学4年生になった雅也だが、栄子(倍賞美津子)の助言から
就職活動をするものの、就職の意識はない。

=卒業式=
「何の緊張感もない、伸びきったゴムのような大学生活も
 4年目が来た。
 この時期になると、それまでバカ丸出しだった大学生たちも、
 急につまらない大人の仲間入りをする。」
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2007年01月16日

東京タワー〜オカンとボクと、時々オトン〜 第2章

『涙の別れ後』

1989年3月 東京
「春になると東京には、
 掃除機のモーターが、次々と吸い込んで行くチリのように、
 日本の隅々から、若いやつらがすい集められてくる。
 暗闇の細いホースは、夢と未来へ続くトンネル。
 そこに行けば、何か新しい自分になれる気がして。」


中川雅也(速水もこみち)は、母の栄子(倍賞美津子)のもとを離れて
東京に上京。
オンボロアパートの管理人()が、
「トイレは共同、お風呂はここから5分のところに銭湯がある。
 うちは清潔がモットー」と説明しながら雅也を103号室へ案内する。
「ゴミ、部屋の中に溜めないでね。
 ゴキブリ増えるから。」
その言葉に恐れおののく雅也!続きを読む